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ヒト細胞傷害性T細胞の単一細胞代謝プロファイリング

Nature Biotechnology 39, 2 doi: 10.1038/s41587-020-0651-8

細胞の代謝は、免疫細胞の活性化、分化、およびエフェクター機能を調節するが、従来の代謝解析法は単一細胞レベルの分解能を欠き、細胞表現型の同時解析を行うことができない。今回我々は、単一細胞の代謝レギュロームをその表現型の実態とともに解析する方法を開発した。scMEP(single-cell metabolic regulome profiling)と命名したこの方法は、抗体に基づく高次元の技術を用いて、代謝経路の活性を調節するタンパク質を定量化する。我々はマスサイトメトリー(飛行時間型サイトメトリー;CyTOF)を利用し、in vitroで活性化されたナイーブT細胞と記憶CD8+T細胞の代謝リモデリングを再現することにより、バルクの代謝アッセイに対するscMEPのベンチマーク評価を行った。我々は、この方法を臨床検体に適用して、ヒト大腸がんにおいて代謝的に抑制された組織限定的な細胞傷害性T細胞を明らかにした。我々の方法を飛行時間型多重イオンビーム画像化法(MIBI-TOF)と組み合わせることで、ヒト組織中の代謝プログラムの空間的構成が明らかになり、代謝的に抑制された免疫細胞が腫瘍・免疫境界から排除されていることが示された。まとめると我々の方法は、個々の細胞の代謝と機能の状態のロバストな近似を可能とする。

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