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腫瘍細胞とマウスでのネオアンチゲンの新規誘導発現

Nature Biotechnology 39, 1 doi: 10.1038/s41587-020-0613-1

マウスでのネオアンチゲンの誘導発現は、疾病と感染での内因性抗原特異的ナイーブT細胞応答の研究を可能にすると考えられるが、胸腺での漏出性の抗原発現が中枢性のT細胞寛容を引き起こすため、実現困難であった。今回我々は、漏出性を抑制するためにRNAスプライシング、DNA組換え、および3段階の調節を用いて逆位誘導性結合ネオアンチゲン(NINJA)を開発し、ネオアンチゲン発現に対する厳密な制御を可能にした。我々はNINJAを用いて、ネオアンチゲンの発現が誘導可能で抗腫瘍免疫研究で使用できる腫瘍細胞株を作製した。また、NINJAマウスの遺伝子調節によって中枢性および末梢性の寛容機構が回避され、末梢組織のネオアンチゲン誘導でのロバストな内因性のCD8 T細胞応答とCD4 T細胞応答が可能となることが示された。NINJAは、末梢性寛容、移植、自己免疫疾患、がんという状況でT細胞が特定のネオアンチゲンにどう応答するのかを調べる研究を可能にすると考えられる。

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