Letter

シトシン・アデニン二重塩基エディターによる植物遺伝子の選択的でランダムな変異導入

Nature Biotechnology 38, 7 doi: 10.1038/s41587-019-0393-7

作物遺伝子の選択的飽和変異導入は、農業性の優れた遺伝的バリアントの作製に応用できる可能性がある。しかし、植物遺伝子を定向進化させるツールは、誤りの多いPCRやDNAシャッフリングなど限られている。我々は、de novo変異を生じさせて植物遺伝子の定向進化を促進することができる5種類のSTEME(saturated targeted endogenous mutagenesis editor;飽和選択的内因性変異導入エディター)を作製した。イネのプロトプラストにおいて、STEME-1は同一の標的部位でシトシンおよびアデニンの編集を行い、CからTへの変換効率は最高で61.61%、CからTおよびAからGへの同時変換効率は最高で15.10%であった。PAMバリアントのニッカーゼCas9-NGを組み込んだSTEME-NGをイネのプロトプラストで20種類のシングルガイドRNAと共に用いたところ、イネアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(OsACC)の56アミノ酸部分に関して近飽和変異導入(73.21%)を生じた。さらに、イネでOsACC遺伝子の定向進化にSTEME-1およびSTEME-NGを用いると、除草剤耐性変異が得られた。この1対のSTEMEは形質の発達を促進すると考えられ、CRISPRによる編集が可能なあらゆる植物で機能するはずである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度