Letter

単一細胞内のタンパク質–DNA接触とトランスクリプトームの同時定量

Nature Biotechnology 37, 7 doi: 10.1038/s41587-019-0150-y

タンパク質–DNA相互作用は遺伝子発現の調節に極めて重要であるが、タンパク質–DNA結合の細胞間不均一性が遺伝子発現の変動にどのような影響を与えるかを明らかにすることは今なお困難である。本論文では、単一細胞のDNAアデニンメチルトランスフェラーゼの特定(DamID)を同一細胞のメッセンジャーRNAの塩基配列解読と組み合わせることにより、タンパク質–DNA接触を同時に定量する方法(scDam&T-seq)を紹介する。scDam&T-seqを用いることにより、ゲノム–ラミナ接触やクロマチン接近可能性が個々の細胞の遺伝子発現とどのように相関するかが明らかにされた。さらに、ポリコーム群タンパク質RING1Bおよび関連トランスクリプトームに関する単一細胞のゲノム規模の相互作用データが得られた。こうした結果は、scDam&T-seqの感度が、異なる条件で培養されたマウス胚性幹細胞およびそれらの異なるクロマチン全体像を識別するのに十分であることを示している。今回の方法によって、不均質な組織において細胞型特異的な転写プログラムを調節する、タンパク質を介した機構の解析が可能になるだろう。

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