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NRT1.1Bは圃場栽培イネの根圏微生物相の構成および窒素利用に関係している

Nature Biotechnology 37, 6 doi: 10.1038/s41587-019-0104-4

インディカ種のイネの窒素利用効率はジャポニカ種を上回る。我々は、16SリボソームRNAの遺伝子プロファイリングを利用して、圃場栽培のインディカ種68品種およびジャポニカ種27品種の根圏微生物相の特徴を明らかにした。インディカ種とジャポニカ種では形成する根圏微生物相が異なることが分かった。とりわけ、インディカ種に多い細菌分類群はジャポニカ種と比較して多様性が高く、窒素代謝機能を有する属を多く含んでいる。遺伝学的手法により、イネの硝酸塩輸送体およびセンサーであるNRT1.1Bは、インディカ種に多い細菌の大部分の動員と関連しているという証拠が得られた。メタゲノム塩基配列解読からは、nrt1.1b変異体の根圏微生物相ではアンモニア生成作用が低くなっていることが明らかになった。我々は、インディカ種およびジャポニカ種の根から1079の純粋な細菌分離株を得て、合成群集(SynCom)を作製した。インディカ種に多いSynComをインディカ種IR24に接種すると、ジャポニカ種に多いSynComの場合と比較して、有機窒素条件でのイネの成長が増進された。植物の遺伝型と根圏微生物相の構成に関して本研究で立証された関連性は、作物の窒素利用を改善する交配戦略に影響を与えると考えられる。

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