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メタゲノム解析を改善するヒト腸内細菌のゲノムおよび培養コレクション

Nature Biotechnology 37, 2 doi: 10.1038/s41587-018-0009-7

腸内マイクロバイオームの機能を理解するには、実験による検証に用いる培養細菌、およびメタゲノムデータセットの解釈を行い機能解析の手引きとするための参照細菌ゲノム配列が必要である。本論文で紹介するヒト消化管細菌培養コレクション(Human Gastrointestinal Bacteria Culture Collection;HBC)は、全ゲノム塩基配列が明らかにされている細菌分離株737株の網羅的セットであり、ヒト消化管マイクロバイオームに認められる31家族の273種(うち105種は新種)を示している。HBCにより、ヒト消化管マイクロバイオームに由来する細菌ゲノムの数は37%増加した。得られた総合的なヒト消化管細菌ゲノムコレクション(Human Gastrointestinal Bacteria Genome Collection;HGG)は、ショットガン塩基配列解読が行われたメタゲノム試料1万3490点にわたって存在度で属の83%を分類し、ヒトマイクロバイオームプロジェクト(HMP)のゲノムコレクションと比較して分類学的分類を61%改善し、配列の約50%に関して亜種レベルの分類を実現した。消化管細菌の参照配列のリソースが改善されたことにより、メタゲノムのde novoアセンブリーへの依存が回避され、ヒト消化管微生物相の正確で経済的なショットガンメタゲノム解析が可能となった。

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