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iPS細胞のミトコンドリアDNAのde novo変異がマウスおよびヒトの免疫原性ネオエピトープを生じる

Nature Biotechnology 37, 10 doi: 10.1038/s41587-019-0227-7

組織再生に対する自家iPS細胞療法の有用性は、免疫学的反応を引き起こさない機能性のiPS細胞派生物を確実に得られるかどうかにかかっている。しかし、自家iPS細胞に由来する細胞への拒絶反応の報告例があるものの、拒絶反応の機序はほとんど解明されていない。我々は、修復機構の信頼性が染色体DNAよりもはるかに低いミトコンドリアDNA(mtDNA)のde novo変異が、免疫認識および拒絶反応を誘発する能力を持つネオアンチゲンを生じるのではないかと考えた。本論文では、マウスおよびヒトにおいて、iPS細胞状態への初期化、長期培養、目的細胞への分化の途上で、非同義のmtDNA変異が生じてそれが濃縮される場合があるという証拠を示す。このようなmtDNA変異は、宿主の主要組織適合複合体の遺伝子型に高度に特異的かつ依存的な免疫応答を誘発するネオアンチゲンをコードする。今回の結果は、自家iPS細胞およびその派生物が自家移植で本来的に免疫応答を生じないわけではないことを明らかにしており、iPS細胞に由来する産物のmtDNA変異をスクリーニングするべきであることを示唆している。

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