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多官能性架橋剤による組織の物理化学的特性の保護

Nature Biotechnology 37, 1 doi: 10.1038/nbt.4281

複雑な生物学的システムを理解するには、分子と細胞の両レベルの特徴に関するシステム規模の特性評価が必要である。無損傷組織中の生体分子の空間的マッピングを行う既存の方法には、分解と組織損傷による情報の損失という問題がある。本論文では、SHIELD(stabilization under harsh conditions via intramolecular epoxide linkages to prevent degradation;分子内エポキシド結合を用いた厳しい条件下での安定化による分解の予防)と命名した組織変換法を紹介する。これは、柔軟なポリエポキシドを用いて生体分子と制御された分子内および分子間架橋を形成する方法である。SHIELDは、各種の厳しい条件下でタンパク質の蛍光および抗原性、転写物、ならびに組織構造を保存する。我々はSHIELDを用いて、ウイルスで標識したマウスのニューロンとその標的に関するシステムレベルの配線、シナプス構造、および分子の特徴を、単一細胞の分解能で調べた。また、コア針生検標本およびヒト脳細胞の迅速な三次元表現型判定も行った。SHIELDは、動物と臨床組織の両方において迅速なマルチスケールの統合的分子表現型判定を可能にする。

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