Letter

in vivoで分子トリガーに応答してがん治療薬として機能するDNAナノロボット

Nature Biotechnology 36, 3 doi: 10.1038/nbt.4071

ナノスケールのロボットには、分子トリガーに応答する機能的な薬物送達システムとしての可能性がある。我々は、DNA折り紙を用いることにより、積み荷を輸送してそれを特異的に腫瘍に届けるように設計した自律型のDNAロボットを作製した。このナノロボットは、外側は腫瘍関連内皮細胞上で特異的に発現するタンパク質ヌクレオリンと結合するDNAアプタマーで、内側の空洞は血液凝固プロテアーゼであるトロンビンで、それぞれ機能化されている。ヌクレオリンを標的とするアプタマーは、標的到達用ドメインとしても、DNAナノロボットの機械的展開の分子トリガーとしても機能する。それにより、ロボット内のトロンビンは腫瘍部位で露出し、血液凝固を始動させる。担がんマウスモデルを用いた実験では、静脈注射したDNAナノロボットがトロンビンを腫瘍関連血管へ特異的に送達して血管内血液凝固を引き起こし、腫瘍の壊死および腫瘍増殖の阻害をもたらすことが実証された。このナノロボットが安全で、免疫学的に不活性であることは、マウスおよびバマミニブタで示された。我々のデータは、DNAナノロボットががん治療において薬物を正確に送達するための有望な戦略であることを示している。

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