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抗原提示細胞を模倣した足場材料が初代T細胞のex vivo増殖を可能にする

Nature Biotechnology 36, 2 doi: 10.1038/nbt.4047

治療用T細胞のex vivo増殖は、その低速さと、T細胞産物の機能性の低さから、進展していない。今回紹介するシステムは、天然の抗原提示細胞(APC)を模倣したもので、メソ多孔質シリカのマイクロロッドが支持する流動性の脂質二重層によって構成される。脂質二重層がT細胞受容体の刺激および共刺激のための膜結合型シグナルを提示する一方で、マイクロロッドは可溶性パラ分泌シグナルの持続的放出を可能とする。抗CD3、抗CD28、およびインターロイキン2を用いることにより、APCを模倣した足場材料(APC-ms)は、マウスおよびヒトの初代T細胞のポリクローン性増殖を、市販の増殖用ビーズ(Dynabeads)と比較して2〜10倍促進することが示された。増殖効率は、刺激シグナルの密度および開始培地中の材料の量に依存していた。単回刺激すると、APC-msは2週間後には、自家単球由来樹状細胞と比較して、希少な細胞傷害性T細胞亜集団を抗原特異的に大きく増殖させた。また、APC-msは、再刺激したCD19 CAR-T細胞を、Dynabeadsと比較して5倍以上増殖させ、異種移植片リンパ腫モデルで同等の有効性を示した。

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