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プロテアソーム切断ペプチドのマススペクトロメトリー分析で細胞デグラドームを明らかにする

Nature Biotechnology 36, 11 doi: 10.1038/nbt.4279

細胞の機能はプロテアソームによる基質の分解によって厳密に制御されている。我々は、生理的条件下でプロテアソームによって自然に切断されたペプチドを直接解析できるようにするため、MAPP(タンパク質分解ペプチドのマススペクトロメトリー分析)という方法を開発した。これはプロテアソームのフットプリント法であり、プロテアソームで切断されたペプチドの捕捉、単離および分析を行うことができる。MAPPをがん細胞株と初代免疫細胞に用いると、炎症性シグナルなどのさまざまな刺激に対する細胞のデグラドームの動的な調節が明らかになった。さらに、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の末梢血の細胞を調べることで、微量臨床検体の分析を行った。患者の免疫細胞ではヒストンの分解が増加していることが見いだされたため、SLEの病態生理学で異常なプロテアソーム分解が役割を持つと示唆された。このようにMAPPは、タンパク質凝集性疾患、自己免疫疾患、がんなど、プロテアソームによる分解の変化が関与するさまざまな細胞状態および疾患において、細胞内分解の全体像の研究を促進するために広く応用可能な方法である。

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