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HLA-Eを発現する多能性幹細胞は同種異型反応およびNK細胞による溶解を回避する

Nature Biotechnology 35, 8 doi: 10.1038/nbt.3860

ヒト白血球抗原(HLA)クラスI遺伝子の多型は、同種異型レシピエントで多能性幹細胞(PSC)由来産物の拒絶を引き起こすことがある。Beta-2 MicroglobulinB2M)遺伝子を破壊すると、全てのクラスI分子の表面発現が失われるが、ナチュラルキラー(NK)細胞による溶解には脆弱となる。本論文では、この「自己性の喪失(missing-self)」反応が最小多型性HLA-E分子の強制発現によって防止可能であることを示す。我々は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用する遺伝子編集によってHLA-Eの遺伝子をヒトPSCのB2M座位にノックインし、HLA-A、B、およびCの表面発現を行わせることなく、HLA-E単鎖の二量体(B2Mと融合)または三量体(B2Mおよびペプチド抗原と融合)の誘導性・調節性の表面発現を実現した。このHLA改変PSCおよびその分化細胞は、CD8+ T細胞から同種異型として認識されず、抗HLA抗体に結合せず、NK細胞による溶解に抵抗性を示す。この方法は、分化細胞がHLAクラスIIを発現しない応用法に汎用ドナー細胞の供給源をもたらす可能性がある。

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