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抗原が促進する前駆T細胞のin vitro分化による高親和性T細胞受容体の生成

Nature Biotechnology 35, 12 doi: 10.1038/nbt.4004

T細胞によるがん免疫療法の有望な標的の多くは自己抗原である。胸腺での選択で、自己抗原親和性が高いT細胞受容体(TCR)を持つT細胞は除去される。残りの抗原結合力の低いTCRの親和性を向上させて抗腫瘍効果を高めることは可能であるが、従来の飽和変異導入による方法は多大な労力を要し、得られるTCRは交叉反応性である可能性がある。今回我々は、抗原発現フィーダー細胞上でマウスおよびヒトT細胞のin vitro成熟および選択を行い、高親和性のTCRを得た。この方法は、天然のTcrb遺伝子の再構成を利用して、CDR3βの長さおよび構成に多様性を生じさせる。抗原の存在下で既知のTcra遺伝子を形質導入した前駆細胞をin vitro分化させると、明瞭なアゴニスト選択性の表現型を持つ細胞の分化が促進された。我々はこのような細胞を精製し、標的抗原特異性があらかじめ強化されたTCRβ鎖ライブラリーを得た。複数のTCRβ鎖がトランスジェニックTCRα鎖と対を形成して、元のTCRを超える標的抗原親和性を持つTCRを生じ、交叉反応性の形跡を示さなかった。

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