Letter

コリンアセチルトランスフェラーゼを発現するCD4+リンパ球による血圧調節

Nature Biotechnology 34, 10 doi: 10.1038/nbt.3663

血圧調節は神経内分泌回路によって維持されていることが知られているが、免疫細胞が血圧の恒常性に寄与しているかどうかは明らかにされていない。我々は以前、血管を拡張させるアセチルコリンの合成を触媒するコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)を発現するCD4+ Tリンパ球が神経シグナルを中継することを示した。本論文では、遺伝子発現に基づくこうしたCD4+CD44hiCD62Llo Tヘルパー細胞が、ChATによって規定される明確なT細胞集団(CD4 TChAT)であることを示す。CD4+細胞でChATが発現しないマウスは、同腹の対照と比較して動脈圧が上昇した。ChATを過剰発現するJurkat T細胞(JTChAT)をマウスに注入すると、血圧は低下した。JTChAT細胞と内皮細胞を共培養すると、内皮細胞のリン酸化した内皮型一酸化窒素合成酵素、ならびに馴化培地中の硝酸塩および亜硝酸塩の濃度が上昇し、強力な血管拡張作用を有する一酸化窒素の放出が示された。CD4 TChAT細胞の単離および特性評価は、低血圧および高血圧でこの細胞が果たす役割の解析を可能とするものであり、細胞が介在する血管拡張作用の標的化による新たな治療戦略を示唆すると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度