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ヒト多能性幹細胞からの血液脳関門内皮細胞の誘導

Nature Biotechnology 30, 8 doi: 10.1038/nbt.2247

血液脳関門(BBB)は脳の健康に重要なものであり、神経疾患で損なわれることが多い。また、そのバリア性により、この内皮界面は神経治療薬の取り込みを制限する。したがって、ヒトBBB内皮の再生可能な供給源は脳研究および医薬品開発を促進する可能性がある。今回我々は、ヒト多能性幹細胞(hPSC)由来の内皮細胞が、Wnt/βカテニンシグナル伝達に関与するものなど、適切な刺激を提供する神経細胞と共分化させることにより、BBBの特性を獲得することを明らかにした。得られた内皮細胞は、適切に組織化された密着結合、栄養輸送体の適切な発現、および極性化した排出輸送体活性など、BBBの特性を多数有する。注目すべきは、その細胞がアストロサイトに応答して経内皮電気抵抗(1,450±140 Ω cm2)で測定される堅固なバリア性を獲得するとともに、in vivoのげっ歯類の血液・脳移行係数と十分に相関する分子透過性を有することである。

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