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バイオ燃料のために代謝の均衡を保つ

Nature Biotechnology 30, 4 doi: 10.1038/nbt.2192-2

微生物宿主での発現は異種の生合成経路を調整して改良されることが多いが、その最適な発現パターンは、細胞内外の状態に動的に依存していると考えられる。Keasling らは、そうした動的な調節を促進するために、異種経路の代謝中間体が活性を調節する天然の調節タンパク質を利用した。この調節タンパク質は、経路の有毒な中間体の生成と消費とを同期させるために用いられている。この方法を適用すると、大腸菌の脂肪酸由来バイオ燃料の収率は 3 倍に向上した。また、研究チームは、サリチル酸に応答する別の調節系も作製した。さらに、大腸菌ゲノムのバイオインフォマティクス的解析では、アミノ酸、核酸、炭水化物、脂質、それに主要代謝物、二次代謝物など、ほかの数多くの分子に関してもリガンド応答性調節因子が存在することが示唆された。これにより、動的な調節は、「細胞工場」による数多くの化学物質や燃料の生産を強化するのに有益な方法であると考えられる。

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