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ウイルスに発現させた黒色腫cDNA
ライブラリーを利用して黒色腫を治癒させる腫瘍関連抗原を同定する

Nature Biotechnology 30, 4 doi: 10.1038/nbt.2157

高免疫原性ベクターの水疱性口内炎ウイルス(VSV)を使用して発現させたヒト黒色腫細胞株由来のcDNAライブラリーを複数回静脈注射することにより、マウスの黒色腫の定着腫瘍が治癒した。腫瘍消滅の成功は、マウスのリンパ系細胞がin vitroで腫瘍特異的CD4+インターロイキン17(IL-17)呼び起こし(recall)応答を起こす能力と関連づけられた。我々は、この特徴的なIL-17応答を利用してVSVのcDNAライブラリーをスクリーニングし、3種類のVSV-cDNAウイルスクローンを同定した。そのクローンは、単独ではなく組み合わせて使用すると、完全な元のウイルスライブラリーと同じ抗腫瘍効力が得られた。このように、VSVが発現するcDNAライブラリーを使用することにより、共同させると抗腫瘍応答を誘導する能力を発揮する腫瘍拒絶抗原を同定することができる。この技術は、黒色腫以外のがんに加え、複数の標的抗原に対する免疫反応性が疾患病理に寄与するほかの疾患の抗原の発見にも応用可能と考えられる。

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