Letter

5 Åの精度によるナノ細孔内DNAの
自動的な正逆送り

Nature Biotechnology 30, 4 doi: 10.1038/nbt.2147

最新のDNA塩基配列解読法では、ナノスケールのセンサーを1列になって通過する個々の鎖の解析にタンパク質や固体の細孔が利用されている。しかし、ナノ細孔を通過するDNAは、制御せずに電気泳動すると、移動が速すぎて塩基を正確に読み取ることができない。本論文では、能動的な電圧制御を行わなくともΦ29 DNAポリメラーゼで制御されてα-ヘモリシンのナノ細孔を通過するDNA鋳型の正逆送り法を紹介する。DNA鎖は、毎秒2.5~40ヌクレオチドの速度中央値で細孔内を送られ、1ヌクレオチドの空間精度でリアルタイムに解読された。1つの細孔で、500個もの分子が毎時130分子程度の速度で処理された。鋳型鎖が1回通過するときに各位置の記録エラー(挿入または欠失)が発生する確率は、最適化前の段階で10~24.5%であった。この方法は、個々の鎖の多重読み取りに有用で、DNA配列解析に使用されるほかのナノ細孔装置にも適用可能である。

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