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高塩分土壌でのコムギの収量が祖先のNa+輸送体遺伝子で向上する

Nature Biotechnology 30, 4 doi: 10.1038/nbt.2120

コムギが葉のナトリウム濃度([Na+])を低く保つ能力は、高塩分条件下での高度な成長と相関している。Na+排除と名付けられたこの形質は、デュラムコムギを上回るパンコムギの耐塩性に寄与している。デュラムコムギの耐塩性を向上させるため、我々は祖先コムギ生殖質内のシュートNa+排除の自然多様性を研究した。以前我々は、コムギの近縁種であるヒトツブコムギ(Triticum monococcum)のNax2座を交雑によって商用のデュラムコムギ(Triticum turgidum ssp. durum var. Tamaroi)に導入すると葉の[Na+]が低下することを明らかにした。今回は、Nax2座の遺伝子TmHKT1;5-Aが、木部導管を取り巻く根細胞の細胞膜に位置するNa+選択的輸送体をコードしていることを明らかにした。このような配置は、Na+を木部から排除して葉に輸送されるNa+を減少させるのに理想的である。高塩分土壌での野外試験では、TmHKT1;5-Aが存在すると葉の[Na+]が有意に低下し、Nax2座を持たない準同質遺伝子系統と比較してデュラムコムギの収量が25%増加することが示された。

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