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血漿タンパク質バイオマーカーの探索と検証を統合するパイプラインによって心血管疾患のマーカー候補を明らかにする

Nature Biotechnology 29, 7 doi: 10.1038/nbt.1899

我々は、血漿バイオマーカー同定法の探索段階から検証段階までで利用されるプロテオーム技術を統合するパイプラインを開発し、肥大型心筋症の治療をめざして治療的な計画的心筋梗塞(PMI)を生じている患者の血液からの心損傷の早期マーカーの同定に応用した。管理下心筋損傷の開始前、過程中、
および終了後の患者心臓からの直接採血により、
バイオマーカー候補が確実に絞られ、患者を自身の生物学的対照とすることができた。LC-MS/MS解析により、心血管疾患の認定済みのマーカーを含め、発現量が大きく変化する121種類のタンパク質、および心筋梗塞(MI)の100種類を超える新規バイオマーカー候補が検出された。精密適用マス・スクリーニング(accurate inclusion mass screening;AIMS)により、末梢血血漿中での極めて特異性の高い選択的検出を利用して、この段階なしには同定される可能性の低かった複数のマーカーを含む一群の候補が認定された。対照、PMI患者、および自然発症MI患者の末梢血血漿を、
定量的多重反応モニタリング質量分析または免疫測定法で分析した結果、このバイオマーカー候補がMIに特異的である可能性が示唆された。今回の研究から、最新の複数のプロテオーム技術が適切に統合されることで、不均質な大規模コホートでさらに評価を進めるに値する新規の心血管バイオマーカーが得られることが示された。

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