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熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparumの成長攪乱の転写プロファイル解析

Nature Biotechnology 28, 1 doi: 10.1038/nbt.1597

ヒトのマラリアで最も重度の病態をもたらす病原体Plasmodium falciparumは、大部分の遺伝子の機能が未だに特定されていない。本論文では、赤血球内の発生サイクルで分裂体段階の成長を阻害する20種類の化合物によってP. falciparumの遺伝子発現に変化が誘導されたことを示す。これまでの研究で、P. falciparumが化学的に誘導した成長攪乱でわずかな変化しか示さないことが報告されているのとは対照的に、コード遺伝子の約59%は、今回試験を行った化合物のうち少なくとも1種類に対して発現量を3倍以上変化させることがわかった。この結果に基づき、遺伝子の同時発現、配列相同性、ドメイン間相互作用および酵母ツーハイブリッド法のデータから構築した相互作用ネットワークを利用して、タンパク質機能の連座性(guilt-by-association)を予測した。娘虫体の侵入と結び付けられた42種類のタンパク質のうち、31種類の細胞内局在性は、マラリア制御の重要な標的であるこの過程でそれぞれが担う役割と整合していた。このネットワークは、新たな抗マラリア薬およびワクチンの同定に役立つと考えられる。

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