Letter

プロテオーム解析のための複雑な質量分析データを対象とする標識不要の正規化定量法

Nature Biotechnology 28, 1 doi: 10.1038/nbt.1592

生物試料のショットガンプロテオーム・プロファイル解析の網羅性は、反復的な質量分析(MS)による測定および複数の分析法の使用によって大幅に拡張することができる。しかし、そのデータには固有の偏りおよびばらつきが存在し、定量比較解析には、計算上および統計上の課題が生ずる。我々は、「正規化スペクトルインデックス」(SIN)という正規化された非標識定量法を開発して検討した。この方法は、MSの「ペプチド数」、「スペクトル数」、および「フラグメントイオン強度」(タンデムMS;MS/MS)という3種類の量的特性を組み合わせたものである。SINでは、MS測定ごとの分散が大幅に圧縮されるため、同じ試料および異なる試料の反復MS測定で検出される数千のタンパク質に関して量的再現性が得られ、有意性の高い定量が可能となる。この方法によるタンパク質量の予測は、今回検討した別の5種類の方法と比較して正確であることが多かった。この方法の有効性は、比較イムノブロット解析およびデンシトメトリーでも確認された。複数回のショットガンプロテオーム測定で得られる複雑なデータセットの比較定量は、システム生物学およびバイオマーカー探索で有意義である。

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