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生細胞を画像化して真のヒトiPS細胞と初期化が不完全な細胞とを識別する

Nature Biotechnology 27, 11 doi: 10.1038/nbt.1580

体細胞は、転写因子の強制発現によって人工多能性幹(iPS)細胞に初期化することができる。初期化中のヒト線維芽細胞を生きたまま連続的に画像化することにより、我々は、形態が胚性幹(ES)細胞と類似していながら分子表現型および分化能が異なる特定のコロニー型を発見した。多能性マーカーの発現、OCT4およびNANOGプロモーターのメチル化、さらには奇形腫への分化を分析することにより、真のiPS細胞のコロニー型は1個にとどまり、それ以外は初期化途上であることがわかった。プロウイルスのサイレンシングとともにTRA-1-60、DNMT3BおよびREX1の発現は、完全な初期化状態の識別に用いることができるが、アルカリホスファターゼ、SSEA-4, GDF-3, hTERT、およびNANOGは、マーカーとして不適当であった。また、初期化に組成既知培地を用いると、完全な初期化の方が生じやすいこともわかった。我々のデータにより、完全な初期化状態の分子マーカーが特定され、iPS細胞と推定される細胞に厳密な特性解析および標準化が必要であることが浮き彫りにされた。

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