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キナーゼ活性の高感度多重解析および活性に基づくキナーゼ同定

Nature Biotechnology 27, 10 doi: 10.1038/nbt.1566

単一または複数のキナーゼシグナル伝達経路の恒常的活性化は、多くのがんに典型的な特徴である。今回我々は、既報の質量分析法に基づくKAYAK法を、多数のシグナル伝達経路のキナーゼ活性を同時に追跡する方法へ拡張した。この改良された単一反応による方法は、90種類の合成ペプチドのリン酸化を1回の質量分析で定量し、ナノグラム〜マイクログラム量の細胞可溶化液に適用可能である。さらにこの方法は、基質競合効果によってキナーゼの単一特異性を向上させ、マイトジェン刺激後の多くのシグナル伝達経路の状態や、よく研究されているがん細胞株間の基礎レベルのシグナル伝達経路活性の差を忠実に提示する。関連する実験で得られたキナーゼ活性を階層的クラスタリングすることにより、類似のキナーゼによってリン酸化されたペプチドは同じ群に分けられ、また薬理学的阻害剤によるシグナル伝達経路の変化と組み合わせることで、その効力、非特異的効果、および遺伝的背景の根底的な差が区別される。最後に、対象とするリン酸化反応に関与するキナーゼ、さらにはその結合するタンパク質複合体成分を同定する方法論を紹介する。

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