Letter

オリゴデオキシヌクレオチドがin vivoで引き起こすRNase Hによるレトロウイルス破壊

Nature Biotechnology 25, 6 doi: 10.1038/nbt1311

HIV-1のRNase Hは、2次DNA鎖合成に必要な高度に保存されたポリプリン配列を標的とするオリゴデオキシヌクレオチドによって早発的に活性化させることができる。無細胞系のHIV粒子および新たに感染した細胞中でのレトロウイルス複製は、これによって阻害される。今回我々は、こうした研究をレトロウイルス複製のin vivoモデルに拡張した。慢性的に脾フォーカス形成ウイルスに感染したマウスにポリプリン配列を標的とするオリゴデオキシヌクレオチドを投与すると、投与法に依存して一過的または長期的に血漿中のウイルス力価の低下が認められた。感染前、感染中、または感染直後の投与により、疾患の進行が遅延し、生存率が上昇し、ウイルス感染が抑えられた。この方法では、感染細胞中の初期レトロウイルス複製中間体とともに、血清中のウイルス粒子がもつウイルスRNA鋳型が破壊される。本法はあらゆるレトロウイルスの複製サイクルに共通した事象を標的としており、医学および農学的に重要なレトロウイルスに広く応用可能と考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度