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ブラシノステロイド欠乏による直立葉はイネのバイオマス生産量および穀粒収量を向上させる

Nature Biotechnology 24, 1 doi: 10.1038/nbt1173

直立性が高い葉をもつ新品種は、光合成のための集光量および穀粒成熟のための窒素貯蔵量が向上し、穀粒収量が増加すると考えられる。本論文では、イネのブラシノステロイド欠乏変異体で直立葉表現型をもつ系統osdwarf4-1に関して、施肥量を増やさなくとも密植状態で穀粒収量が向上することを示す。分子生物学的、生化学的研究により、CYP90B2/OsDWARF4 およびCYP724B1/D11という2種類のシトクロムP450は、ブラシノステロイド生合成の律速段階であるC-22水酸化に重複して機能することが明らかになった。これにより、ブラシノステロイドが植物の生長および発達で中心的な役割を担っているにもかかわらず、OsDWARF4 単独の変異ではブラシノステロイドの生合成および植物の形態に限定的な障害しか生じない。この結果から、ブラシノステロイド生合成を遺伝子調節で制御することにより、肥料で環境に悪影響を及ぼさずに作物の収量を増加させることが可能であると考えられる。

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