Review

亜鉛フィンガーヌクレアーゼを用いた遺伝子ターゲティング

Nature Biotechnology 23, 8 doi: 10.1038/nbt1125

哺乳類のゲノムの部位特異的な操作を実現する技術は、基礎研究および応用研究に対して幅広く影響を及ぼす。遺伝子ターゲティングは、細胞に導入したDNA分子による相同組換えで染色体の対応する部分を置換する方法であり、そのため高精度なゲノム操作法となっている。従来、哺乳動物細胞への遺伝子ターゲティングの応用には効率の低さという制約があった。亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、標的遺伝子のDNA二本鎖に切断を導入して細胞の内因性の相同組換え機構を刺激することによる遺伝子ターゲティング効率の向上が期待されている。最近の研究で、ZFNを用いるとヒトの病原遺伝子で20%ものターゲティング頻度が得られることが示された。将来は、こうしたin vitroでの知見をin vivoで応用するとともに、亜鉛フィンガーヌクレアーゼによって望ましくないゲノム不安定性が生じないかどうかを明らかにするための研究が必要となろう。

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