Review

心臓を再生する

Nature Biotechnology 23, 7 doi: 10.1038/nbt1117

細胞を利用した心修復は、損傷した心臓をその構成要素から再構築する方法として有望視されている。当初研究が行われていたのは骨格筋芽細胞など特定の細胞であったが、最近は分野が拡大し、骨髄細胞、内皮前駆細胞、間葉幹細胞、常在性心臓幹細胞、さらにはマウスおよびヒトの胚性幹細胞などさまざまな種類の細胞が研究されている。心修復にはサイトカインのような因子による細胞動員が関与する方法もある。細胞を利用した方法は臨床への移行が急速に進められており、自己の骨格筋芽細胞および骨髄細胞を用いる臨床試験が進行中である。筋再生による梗塞治療という構想の実現には多くの困難が立ちはだかっている。今後の研究は、幹細胞の分化の誘導、その生存および増殖の制御、ホーミングを媒介する因子の同定、および心臓本来の炎症性、線維性反応の調節を行う方法の改良が中心になると考えられる。

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