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植物でウイルスレプリコンを効率よく一時的に発現させるためのAgrobacterium tumefaciensによる全身的トランスフェクション

Nature Biotechnology 23, 6 doi: 10.1038/nbt1094

植物バイオテクノロジーでは、異種遺伝子を植物体に導入して発現させるために、安定的な形質転換およびウイルスベクターによる一過性発現という2種類の方法がもっぱら用いられている。一過性発現はきわめて迅速であるが、導入遺伝子が小さくない場合にはウイルスベクターの感染性が低いという難点がある。本研究では、RNAウイルスベクターを効率よく導入するための原型となるDNA構造体を開発した。本論文では、この構造体をアグロバクテリウムで導入すると、植物体の成熟した葉のすべてで同時に遺伝子が増幅された(全身的トランスフェクション)ことを示す。「マグニフェクション」と命名したこの方法は、さまざまな植物種に対して大規模に応用可能である。この技術は、3種類の生物学的システムの利点(アグロバクテリウムのトランスフェクション効率、ウイルスベクターによる高い発現量、および植物の翻訳後処理能力)をあわせもっており、植物の遺伝子組換えを必要とせず、既存の別法と比較して迅速である。

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