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ドナー由来抗体と多彩な合成相補性決定領域との組み合わせによる高親和性ヒト抗体の作製

Nature Biotechnology 23, 3 doi: 10.1038/nbt1067

非免疫ヒトドナー由来の超可変領域VHおよびVLの配列を再構成した組み合わせライブラリーでは、VHとVLの無作為な組み合わせによって、抗自己反応性などの抗原特異性が形成される。ただし、免疫グロブリン遺伝子の体細胞超変異はin vivoでの高親和性抗体の作製に重要であるが、免疫化しない限り生じない。したがって、非免疫ドナー由来の組み合わせファージディスプレイライブラリーには高親和性抗体がほとんどみられない。こうしたライブラリーの抗体を改良するには、in vitroでの親和性増強に時間がかかる場合が多い。本論文は、ヒトドナーから得た免疫グロブリン配列と重鎖の相補性決定領域1および2で重要な抗原接触部位をさまざまに合成したものとを組み合わせた独自のヒトFabライブラリーの構築に関するものである。この方法の的確さは、複数の治療標的に対する一価のFabが多数同定され、その親和性が承認済みの治療用抗体と比べて高かったことによって示された。多くの場合、これによって親和性増強を省略することができるようになり、抗体医薬品候補の発見が促進される。

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