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特性の異なるデンドリマー/グルコサミン結合体類の併用による瘢痕組織形成の抑制

Nature Biotechnology 22, 8 doi: 10.1038/nbt995

デンドリマーは多分岐の高分子であり、化学合成で構造体を正確に付加することができる。我々は、アニオン性の第3.5世代ポリアミドアミンデンドリマーを利用して、D(+)-グルコサミンおよびD(+)-グルコサミン-6-硫酸の水溶性結合体を創作した。前者の結合体は免疫調節特性を、後者は血管形成阻害特性を有する。デンドリマーグルコサミンは、ヒト樹状細胞およびマクロファージでリポ多糖がトール様受容体4を介して誘導する炎症誘発性のケモカイン(MIP-1α、MIP-1β、IL-8)およびサイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)の合成を阻害したが、共刺激分子CD25、CD80、CD83およびCD86の発現亢進は阻害されなかった。デンドリマーグルコサミン-6-硫酸は、ヒトマトリゲル試験および胎盤血管形成試験で、線維芽細胞増殖因子2が媒介する内皮細胞の増殖および血管新生を遮断した。デンドリマーグルコサミンおよびデンドリマーグルコサミン-6-硫酸を、すでに確立された臨床的に意味のあるウサギ瘢痕組織形成モデルで緑内障濾過手術後に併用したところ、手術の長期的成功率が30%から80%に向上した(P = 0.029)。今回示したデンドリマーのように人工的高分子が明確な免疫調節特性および血管新生阻害特性をもつよう改変することが可能であり、両者を併用することで瘢痕組織形成を抑制することができるという結論が得られた。

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