2023年4月号Volume 20 Number 4

新世代の抗肥満薬がもたらす驚きの効果と懸念

レプチンの食欲調節機能の発見から約30年。体重減少作用のあるホルモンなど、生体分子から着想を得た新世代の抗肥満薬が今、続々と承認されている。臨床現場でも顕著な効果を示しているが、これで肥満に悩む全ての人が救われるのだろうか?「やせ願望」をかなえるツールとして安易に利用されはしないだろうか?

Editorial

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研究者は、先進的なAIチャットボットの「素晴らしい新世界」に没頭しています。出版社各社は、このツールの理にかなった利用を認めた上で、乱用を避けるための明確なガイドラインを定める必要があります。

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Research Highlights

「原生林の消失、原因は農業よりも商品生産」「有毒な海域でカニの生存を助ける細菌」「海洋細菌の繁栄を支えるトランスポゾンを発見」「ウミグモは脱皮だけでなく再生もする」、他。

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News in Focus

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Features

新世代の抗肥満薬は、臨床試験と臨床現場の双方で顕著な効果を示している。だが、これで肥満に悩む全ての人が救われるのだろうか?そして、肥満に対する偏見をなくすことはできるのだろうか?

免疫系は、最初に遭遇したウイルス株を記憶し、後に出合っても強く反応するが、他の近縁株への反応を弱めてしまう。「刷り込み」と呼ばれるこの現象を、克服することは可能だろうか?

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World View

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Japanese Author

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DNAを含んだ溶液の化学反応を通して計算を行うDNAコンピューター。奥村周氏(当時東京大学大学院博士課程に所属)らは、機械学習で用いられるニューラルネットワークをDNAコンピューターで構築し、塩基配列や酵素を調整した大量のマイクロ液滴中で計算を実行させることでその全体像を視覚的に捉える手法を開発した。このDNAコンピューターは、がんのmiRNAに基づく診断技術にも応用できるという。

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News & Views

鳥類の起源に関する我々の理解は、1998年に発表された、羽毛恐竜の存在を示す化石に関する論文によって大きく前進した。この論文は、同年発表された別の2種の羽毛恐竜化石についての論文と共に、古生物学界に一大センセーションを巻き起こした。

3種類のトレーサーを組み合わせて解析することにより、富士山の湧水の起源に関する古くからのモデルの誤りが証明され、深度の異なる帯水層間の相互関係が明らかになった。

世界で2例目となる、アスガルドアーキアの培養が成功した。アスガルドアーキアは、我々の細胞の祖先に近縁とされ、その内部構造は、真核細胞の初期進化に関する手掛かりをもたらす。

キナーゼはタンパク質のリン酸化酵素であるが、今回、計算資源から、ヒトキナーゼの主要なクラスに属するほぼ全てのキナーゼの標的となる候補タンパク質モチーフが特定できた。このリン酸化マップは、健康や疾患における細胞のシグナル伝達を理解する上で重要である。

増殖を停止した「老化」細胞の特徴が、マウスの骨格筋において明らかになった。老化細胞は、炎症促進と再生阻害を引き起こしていること、そしてその結果、老齢の筋組織に有害な変化を引き起こす可能性があることが分かった。

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Advances

かつて存在していた生物が自らの衰退を招いたのかもしれない。

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Where I Work

Rebecca Struthersは、ストラザーズ・ウォッチメーカーズ社 (英国バーミンガム)の時計師。

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