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プラスチックのリサイクルに最適な酵素

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220742

原文:Nature (2022-04-28) | doi: 10.1038/d41586-022-01075-6 | Tailor-made enzymes poised to propel plastic recycling into a new era

Eggo U. Thoden van Velzen & Giusy Santomasi

ポリエチレンテレフタレート(PET)廃棄物は食品包装に適した材料に再生可能だが、現在そうしたリサイクルは飲料用のPETボトルなどに限定されている。今回、リサイクル原料の選択肢を大きく広げる酵素が、機械学習を用いて開発された。

図1 インドネシアのスラバヤにて、山積みにされる使用済みプラスチックボトル。現在、PET廃棄物から高品質の再生PETを得るリサイクルは、ボトルなど特定の製品に限られている。Luら1は今回、原料となるPET廃棄物の選択肢を広げることのできる酵素を開発した。 | 拡大する

JUNI KRISWANTO/AFP/GETTY

プラスチックは、包装や消費財に極めて有用だが、廃棄物の管理が不十分なために土壌や海洋が汚染されている。この問題は、原理上はリサイクルによって回避できる(図1)。しかし、プラスチック製品の多くは溶融・再加工による「メカニカルリサイクル(物理的再生法)」向けに設計されておらず、再生により品質が低下してしまう。一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの特定のポリマーを主原料とする製品は、ポリマー鎖を化学的分解(解重合)による「ケミカルリサイクル(化学的再生法)」で分子構成要素(モノマー)に戻すことができ、モノマーを精製・再重合すれば「クローズドループ・リサイクル」を達成できる。だが、これには通常、多くのエネルギーと大量の塩基や酸が必要で、経済的にも生態学的にも妥当ではない。これらの課題を解決し得る方法に、酵素による解重合があるが、工業スケールの反応に適した活性を持つ酵素が存在せず、この戦略は開発が進んでいなかった。このたび、テキサス大学オースティン校(米国)のHongyuan Luら1は、機械学習を利用して、メカニカルリサイクルに適さない一般的なPET系製品を完全に分解することのできる酵素を開発し、Nature 2022年4月28日号662ページで報告した。この成果は、PETリサイクルの現状を一変させる可能性がある。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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