2025年7月号Volume 22 Number 7
最も引用された二十一世紀の論文
Natureは、2000年以降に出版された論文を独自に分析し被引用数が最も多い25本を特定した。注目されるのは、人工知能(AI)や研究手法、ソフトウエアに関する実用的な論文が上位を占めている点である。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「健康的な加齢に最良の食品と最悪の食品」「古代エジプトの残酷さを暗示する鉄の足かせ」「赤いバラの祖先は黄色」「長期間持続するエルニーニョ現象が増加している」、他。
News in Focus
研究者をさいなむメンタルヘルスの解決に向けて
世界中の研究者コミュニティーが、学術界の悪しき文化に挑んでいる。
共同筆頭著者の著者順は1番でないと不利?
「論文の著者名の並び順は成功の認識を左右する」とまことしやかに語られているが、このほど俗説を払拭する研究結果が発表された。
AlphaFoldのデータ不足で製薬会社が独自データでモデル作成
製薬会社が独自に蓄積してきた膨大な件数のタンパク質構造データが、学術研究者には公開されないAIツールの訓練に使われることになった。
妊娠が母体に与える影響の詳細が大規模研究で明らかに
30万件の出産データから、妊娠や出産によって母体がどのように変化するかが分かった。
アンケート調査:人工知能は世界を良くするか?
人工知能(AI)研究に従事する科学者らは、この技術が人類に恩恵をもたらすことを一般市民よりも強く信じている。
脳インプラントで思考を音声へと瞬時に変換
コンピューターインターフェース技術の向上により、自然な会話の速さに近づいた。
対称性を再構築した数学者にアーベル賞
京都大学の柏原正樹特任教授が数学界で最も権威ある賞を日本人として初めて受賞した。
ラボテクニシャンの庭から新しい抗生物質を発見
新たな抗菌ペプチドは、他の薬剤とは異なる方法で細菌を標的とする。
Features
被引用数の多い21世紀の論文トップ25
Natureの独自分析により、2000年以降に出版された論文の中で被引用数が最も多い25本を特定し、これほど多く引用されている理由を探った。
今も圧倒的な被引用数を誇る数十年前の科学論文とは
Natureが依頼した分析により、今日の論文の参考文献リストに最も多く登場する論文が明らかになった。
旅するミトコンドリア
細胞は、そのエネルギー工場であるミトコンドリアを交換し合っているという。この現象は、人間の健康上、どんな意味を持つのだろうか?
CERNの次の巨大加速器建設に向けた戦い
欧州原子核共同研究機構(CERN)は、次の巨大加速器を2070年に最終的に完成する予定で建設する計画を進めている。しかし、この計画はCERNの没落につながるかもしれないとの批判も起こっている。
Japanese Author
Free access
ホヤで脊椎動物の「頭」の起源を発見
感覚器、脳、頭蓋骨、顎のような脊椎動物の複雑な頭部発生は、胚で神経板の周囲に位置する神経堤が担っている。甲南大学理工学部生物学科統合ニューロバイオロジー研究所の日下部岳広教授らは、脊椎動物と同じ脊索動物門に属し、約5億年前に共通祖先から分かれたホヤに、原始的な神経堤細胞があることを突き止めた。
News & Views
ねじると縮む、折り紙メタマテリアル
折り紙に着想を得て、天然材料には見られない特性を備えた、可逆的に大きく変形するメタマテリアルが考案された。この新材料は、幅広い分野での広範な応用の可能性を秘めている。
ヒト細胞はタンパク質を分解して抗生物質を産生している
プロテアソームは、タンパク質を分解するだけでなく、驚くべきことに、細菌感染に対する防御機構としても機能している。このシステムは、タンパク質を切断するパターンを変えることで、要求に応じた抗生物質ペプチドを作り出している。
Advances
クジラの声に言語的パターン
その歌声は人間の言語と同じ基本法則に従っている。
Where I Work
Gemma Galbraith
Gemma Galbraithは、ジェームズ・クック大学(オーストラリア・タウンズビル)の海洋生態学者。
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