遺伝子調節の神託
出芽酵母(写真)の遺伝子発現を正確に予測できる人工知能(AI)が開発された。 Credit: STEVE GSCHMEISSNER/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Science Photo Library/Getty
遺伝子発現は、特定の環境での細菌の生存から人体の解剖学的構造や生理機能に至るまで、生命のあらゆる側面に影響を及ぼす。発現を調節するDNA塩基配列から、遺伝子がどの程度強く発現するかを正確に予測できれば、生物学研究の方法が一変するだろう。しかし、遺伝子発現を調節する生化学的機構は途方もなく複雑であり、50年以上にわたる生物学者たちの最大限の努力にもかかわらず、目標は達成されていない。このほど、カギとなる2つの技術を利用し、酵母(Saccharomyces cerevisiae)において遺伝子発現を正確に予測することに成功したと、マサチューセッツ工科大学およびブロード研究所のAviv Regev(現在はジェネンテック社に所属)らの研究チームが、Nature 2022年3月17日号455ページで報告した1。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 6
DOI: 10.1038/ndigest.2022.220648
原文
AI predicts the effectiveness and evolution of gene promoter sequences- Nature (2022-03-17) | DOI: 10.1038/d41586-022-00384-0
- Andreas Wagner
- Andreas Wagnerは、チューリッヒ大学(スイス)および ステレンボッシュ大学(南アフリカ共和国)に所属。
参考文献
- Vaishnav, E. D. et al. Nature 603, 455–463 (2022).
- de Boer, C. G. et al. Nature Biotechnol. 38, 56–65 (2020).
- Jumper, J. et al. Nature 596, 583–589 (2021).
- Zhou, J. & Troyanskaya, O. G. Nature Methods 12, 931–934 (2015).
- Alipanahi, B., Delong, A., Weirauch, M. T. & Frey, B. J. Nature Biotechnol. 33, 831–838 (2015).
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