News & Views

衛星用のヨウ素エンジンを宇宙で初試験

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220237

原文:Nature (2021-11-18) | doi: 10.1038/d41586-021-03384-8 | Iodine powers low-cost engines for satellites

Igor Levchenko & Kateryna Bazaka

固体のヨウ素は、加熱されると気体に直接変わる。これは、安価で小型のロケットエンジンに適した性質だ。今回、ヨウ素を使った電気推進エンジンが宇宙で機能することが初めて確かめられた。小型衛星の大規模ネットワークが実現しやすくなりそうだ。

真空室内でイオンを噴射する、Rafalskyiらのヨウ素電気推進システム(NPT30-I2)のフライトモデル(飛行実機)。イオンの速度はおよそ毎秒40kmで、得られる推力は0.8ミリニュートン。試験衛星は2020年11月に長征6号ロケットで打ち上げられ、高度約480kmの地球周回軌道に投入された。衛星はこの推進システムにより、3kmを超える累積高度変化を達成した。 | 拡大する

ThrustMe

「衛星コンステレーション」と呼ばれる柔軟なネットワークに組織された衛星群は、1機で機能する衛星よりも臨機応変でトラブルに強い。衛星コンステレーションを形成するには、安く、信頼性が高く、効率的なエンジンが必要だ。ネットワーク化された衛星の多くは電気推進のスラスター(推進装置)を備えており、電気エネルギーで推進剤ガスのイオンを加速することによって推力を得る。しかし、気体の選択が課題になる。現在広く使われているキセノンは、比較的少量のエネルギーでイオン化できるが、高価であり、衛星に搭載するためには圧縮して高圧タンクに入れる必要がある。またクリプトンは、キセノンより安いが、複雑で重い気体貯蔵・供給システムが必要になる。新興の航空宇宙企業スラストミー社(ThrustMe;フランス、ベリエール・ル・ビュイッソン)のDmytro Rafalskyiらは、宇宙でのヨウ素イオンスラスターの実証に成功したことをNature 2021年11月18日号411ページで報告し、キセノンやクリプトンに代わる、安く、簡便なシステムを提案した1

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

プライバシーマーク制度