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暗黒物質検出器が極めて稀な原子核崩壊を観測

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190729

原文:Nature (2019-04-25) | doi: 10.1038/d41586-019-01212-8 | Dark-matter detector observes exotic nuclear decay

Jouni Suhonen

宇宙の「行方不明の質量」であるダークマター(暗黒物質)を探すために設計された、液体キセノンを用いた検出器が、「2ニュートリノ二重電子捕獲」と呼ばれる稀な原子核崩壊を観測した。この結果は、原子核物理学と素粒子物理学に密接に関係する。

グランサッソ国立研究所のXENON1T実験施設。 奥のタンク状の部分の中に、液体キセノンが入った容器がある。 | 拡大する

Stefano Montesi - Corbis/Corbis via Getty Images)

この半世紀の間、私たちは素粒子物理学の標準模型に基づいてこの世界を理解してきた。しかし、この理解の仕方に対し、標準模型の限界のいくつかを克服できる理論が挑み続けてきた1。こうした理論は、ニュートリノがマヨラナ粒子(つまり、粒子と反粒子が同一)であることを許し、宇宙の「見えない物質」であるダークマター(暗黒物質)の構成要素としてWIMP(weakly interacting massive particle;弱く相互作用する質量の大きな粒子)の存在を予言する。マヨラナ・ニュートリノは、「ニュートリノレス(ニュートリノを放出しない)二重ベータ崩壊」と呼ばれるある種の原子核崩壊を媒介し、その一例が「ニュートリノレス二重電子捕獲」だ。この崩壊の観測への重要な一段階が、その標準模型での対応過程である「2ニュートリノ(2個のニュートリノを放出する)二重電子捕獲」を検出することだ。国際共同研究グループ「キセノンコラボレーション」は、WIMPを検出するために作られた検出器を使い、キセノン124原子核で2ニュートリノ二重電子捕獲を初めて直接観測したことをNature 2019年4月25日号532ページで報告した2

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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