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中国がフェイク査読取り締まりを強化

Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2017.170914

原文:Nature (2017-06-22) | doi: 10.1038/546464a | China cracks down on fake peer reviews

David Cyranoski

中国の研究助成機関は、論文捏造に対する厳罰化および取り締まり強化を発表した。

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allanswart/iStock/Getty Images Plus/Getty

中国政府は、投稿論文を不正な査読を介して学術誌に掲載させた科学者に対して強い姿勢で臨むことを表明した。がん専門誌に掲載された中国の研究者の論文107編が2017年4月に撤回されたことを受け、中国科学技術大臣をリーダーとする関係当局は6月14日に合同で声明を出し、中国政府はこうした不正行為に関与した研究者への助成金の支給を停止すると発表したのだ。中国の研究助成機関も、同様の不正行為を防止するため、科学コミュニティーの取り締まりを強化していくことを約束した。

厳しい罰則と厳格なルールの施行は、6月初めに行われた中国の科学技術省、保健省、国家自然科学基金委員会(NSFC)などの代表からなる会合において決定された。

中国農業科学院農業資源・農業区画研究所(北京)の水資源研究者Jiang Wenlai(姜文来)は、「私が知るかぎり、これほど多くの機関と人員が一斉に捏造問題に取り組んだ前例はありません」と言う。

シュプリンガー・ネイチャー社が発行する学術誌Tumor Biologyに掲載された107編の論文について、論文を支持する査読が偽造されていたことが発覚し、同社は4月にこれら全ての掲載を撤回した。今回の会合はこれを受けて開かれた(Tumor Biologyの現在の出版元はシュプリンガー・ネイチャー社ではない。またNatureのNews and Commentチームは同社とは独立した編集権を持つ)。

査読の不正は世界的な問題であり、論文著者や代理の企業が査読者を推薦し、学術誌がその査読者にメールを送ると、著者や企業がメールを受け取り、掲載を支持する偽のレビューを執筆するという仕組みになっている。

取り締まりの主要な標的の1つは、フェイク査読のお膳立てをするネット企業だ。会合に参加した機関は、中国のインターネット検閲当局Cyberspace Administration of China(CAC)の協力を期待している。NSFCの主任(会長)を務めるYang Wei(楊衛)は、これにより企業の背後にいる黒幕を特定したいと考えている。「1つのウェブサイトを閉鎖すると、3つのサイトが開設されるという状態です。私たちの目標は黒幕を見つけることです」と彼は言う。

問題はがん研究にとどまらない。「ネット上では多くの不正が見られます。分野ごとに異なる企業が不正に関与しているのです」とYang。

(翻訳:三枝小夜子)

編集部註:中国の人民法院(裁判所)は2017年4月10日、不正な臨床試験データの提出者に対し死刑を含む実刑判決を下すことを決定し、数カ月以内に施行すると発表している。背景には、2015年に中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)が医薬品申請を行った企業に対し臨床試験データの再検証を求めたところ、8割以上の申請が自主的に取り下げられたという出来事がある。CFDAおよびNature 5月18日号275ページ参照。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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