Research Highlights

ウンカはインスリン刺激を受けて姿を変える

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150632

原文:Nature (2015-03-26) | doi: 10.1038/519420a | Earn your wings

Nathalie Le Bot

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CHUAN-XI ZHANG

イネの害虫として知られ、日本には梅雨時期に大陸から飛来するトビイロウンカ(Nilaparvata lugens;写真)。この昆虫は、環境刺激に応じて2つの異なる型に発育することが知られており、その能力により高密度時には羽の形を変えて遠くまで移動することで繁栄を遂げてきた。発育の際にトビイロウンカの2つの型の切り替えを制御する仕組みはこれまで不明であったが、このたび浙江大学(中国)のHai-Jun Xuらが、NlInR (N. lugens insulin receptor)1およびNlInR2という2種類のインスリン受容体タンパク質の二元的な作用によるものであることを明らかにし、Nature 3月26日号464ページに報告した(H.-J. Xu et al. Nature 519, 464–467; 2015)。

長翅型のウンカは、個体数が増えすぎた際に不利な環境から飛び出して資源を探索することができる。それに対し短翅型のウンカは、飛ぶことができない代わりに発育が早く繁殖力が強い。研究チームは、短翅型・長翅型の切り替えを制御する分子シグナル伝達カスケードを解明した。その仕組みはこうだ。発育中に脳でインスリンペプチドが産生されると、NlInR1に作用して長い羽の形成を引き起こすカスケードを活性化する。だが、構造の似たNlInR2がNlInR1に結合してNlInR1二量体の形成を妨げると、NlInR1以下のカスケードが妨害され羽の成長が妨げられる。つまり、それぞれのウンカ個体がどちらの型になるかは、各受容体の相対的な発現レベルで決まるのである。

この研究成果は、環境刺激により高繁殖力の短翅型ウンカの発生が制御される仕組みを解明する一助となるものであり、ウンカの防除法開発に役立つ可能性がある。

(翻訳:小林盛方)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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