Nature ハイライト
地球化学:青いダイヤモンドは地球下部マントル由来のボロンを含んでいる
Nature 560, 7716
地球表層の物質がマントルへ再循環する地質学的経路は、プレートテクトニクスによって、駆動されているとともに不明瞭になっている。この再循環の大きさの測定は、島弧火山の下の比較的浅い深度で沈み込む地殻成分が放出されることが多いので困難である。ホウ素を含む青い(IIb型)ダイヤモンドが明確に存在することから、大陸地殻や海洋地殻に豊富にある元素であるホウ素が、マントル深度でダイヤモンドを形成する流体中に存在することが明らかになっている。しかし、ホウ素の起源とダイヤモンドが結晶化する地質学的環境はどちらもよく分かっていない。本論文では、ホウ素を含むダイヤモンドが、これまで見つかっていなかった鉱物集合体を保持しており、下部マントルに達する深度の変成した海洋リソスフェア・スラブ内でその高圧前駆体が安定していることを示す。我々は、海水で蛇紋岩化した海洋リソスフェア内のホウ素の一部が深部マントルまで沈み込み、そこでダイヤモンドの成長を可能にする水を含む流体とともに放出されると提案する。従って、IIb型ダイヤモンドは、これまで見つかった中で最も深いダイヤモンドであり、地殻元素が深部マントルへ再循環し得る経路を示している。
2018年8月2日号の Nature ハイライト
微生物群集:永久凍土由来の微生物ゲノムの復元
医学研究:白血病細胞による神経の移動経路の乗っ取り
音響学:反射を伴わない負の屈折
有機化学:脂肪族C–H結合の官能基化
炭素循環:土壌炭素の大気への放出量が1990年以降増大している
気候変動生態学:サンゴの白化事象の群集規模の帰結
代謝学:コハク酸は褐色脂肪組織に入り、代謝疾患で熱産生を高める
自己免疫:自己免疫におけるインスリンペプチドの働き
分子生物学:細胞のDNA修復における二本鎖切断の削り込み
構造生物学:PTCH1の構造