Nature ハイライト

地球化学:青いダイヤモンドは地球下部マントル由来のボロンを含んでいる

Nature 560, 7716

地球表層の物質がマントルへ再循環する地質学的経路は、プレートテクトニクスによって、駆動されているとともに不明瞭になっている。この再循環の大きさの測定は、島弧火山の下の比較的浅い深度で沈み込む地殻成分が放出されることが多いので困難である。ホウ素を含む青い(IIb型)ダイヤモンドが明確に存在することから、大陸地殻や海洋地殻に豊富にある元素であるホウ素が、マントル深度でダイヤモンドを形成する流体中に存在することが明らかになっている。しかし、ホウ素の起源とダイヤモンドが結晶化する地質学的環境はどちらもよく分かっていない。本論文では、ホウ素を含むダイヤモンドが、これまで見つかっていなかった鉱物集合体を保持しており、下部マントルに達する深度の変成した海洋リソスフェア・スラブ内でその高圧前駆体が安定していることを示す。我々は、海水で蛇紋岩化した海洋リソスフェア内のホウ素の一部が深部マントルまで沈み込み、そこでダイヤモンドの成長を可能にする水を含む流体とともに放出されると提案する。従って、IIb型ダイヤモンドは、これまで見つかった中で最も深いダイヤモンドであり、地殻元素が深部マントルへ再循環し得る経路を示している。

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