Nature ハイライト

素粒子物理学:本格化する反物質の分光測定

Nature 557, 7703

電荷–パリティ対称性や電荷–パリティ–時間対称性などの基本的な対称性の検証においては、水素の反物質である反水素の研究とその特性の精査が最も重要である。2017年、CERNのALPHAコラボレーションは、レーザーに誘起される反水素の1S–2S遷移の実験的観測を報告した。ALPHAコラボレーションの研究者たちは今回、この遷移の1つの超微細構造成分の詳細な特性評価を提示している。彼らは、2か月にわたり合計約1万5000個の反原子を用いてデータ収集を行い、対象となる反水素の遷移で測定された共鳴周波数が、水素において予測される周波数と2兆分の1の精度で一致することを示した。これは、今までで最も精密な反物質の分光学的特性評価であり、反原子の分光測定法が確立されたツールであることを実証している。

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