Nature ハイライト

古生物学:「帽子」から絶滅リスクを予測する

Nature 552, 7683

Leigh Van Valenの「赤の女王仮説」によれば、捕食者は常に被食者より優位に立とうとし、対する被食者は捕食者から逃れるために進化する。種は勢いを失った時に絶滅すると考えられていた当時、Van Valenは研究の末、絶滅はより確率的なものであり、タクソンの古さと絶滅リスクとの間には全く相関がないと提唱した。しかし大規模なサンプリングからは、タクソンの個体数の経時的変化が帽子状の分布を示す(最初と最後は少なく、中盤にピークが存在する)ことが明らかになっており、これが正しければ、Van Valenが否定した相関は存在すると推論される。今回I Žliobaitė たちは、資源に制約を課したランダムウォークモデルを用いて種分化と絶滅をモデル化し、そこに単峰形の「帽子」パターンを見いだしている。彼らは、種は拡大のピークでは競争による制限を受ける一方、出現直後の多様化および最終的な絶滅においてはランダムな環境的影響によって制限されると示唆している。従って、種の絶滅リスクを予測する研究では、その種がいつピークを過ぎたかに着目しなければならない。

2017年12月7日号の Nature ハイライト

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