Nature ハイライト

生態学:生物多様性の重要性を掘り下げる

Nature 536, 7617

単一の栄養段階群(食物連鎖内で同様の栄養段階から資源を消費する生物群)の中で生物多様性が失われると、人間の依存するサービスを提供する生態系の能力が低下することは、多数の実験によって明らかになっている。相互作用する複数の栄養段階群で構成される自然生態系の生物多様性の喪失が生態系機能にどう影響するのかは、まだよく分かっていない。今回S Soliveresたちは、ドイツの150の草原で、微生物と動植物の計4600のタクソンの種数および存在数量に関するデータを、14種類の生態系サービスの情報と合わせてまとめた。そのデータの解析から、生態系の機能にとっては、複数の栄養段階群にわたる生物多様性が土地利用強度や環境条件と同じくらい重要なことが明らかになった。生態系が人間の依存するサービスを確実に提供し続けられるようにするには、広範なタクソンで高レベルの種数と多様性を保存することが重要になるだろうと、著者たちは結論している。また今回の知見は、植物や土壌細菌、草食性昆虫といった機能的に最も重要な生物を明らかにすることで、保全や生態系管理の戦略に有用な情報を提供している。

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