Nature ハイライト

X線結晶学:不完全な結晶の構造決定

Nature 530, 7589

X線結晶構造解析法によるタンパク質の構造決定は、十分詳細な回折パターンが得られるほどの高品質な結晶が入手できないために制限されることが多い。通常、X線パターンには連続回折も含まれているが、ほとんど無視されている。しかし、原理的には、この連続回折パターンから制限を克服できるほど十分な情報が得られる可能性がある。今回K Ayyerたちは、格子の乱れに起因する連続回折を用いて、実際に構造決定ができることを示している。著者たちは、光化学系IIというタンパク質複合体の不完全な結晶から収集したデータを用いて、3.5 Åの分解能で像を得ている。今回の手法によって、よく見られる不完全な結晶に大きな価値が与えられるとともに、さまざまな巨大分子系の直接高分解能構造決定が可能になると期待される。

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