Nature ハイライト

気候変動:将来の降水量に対するモデル計算の答え

Nature 528, 7581

降水量の増加は、気候モデルによる将来予測の主要な特徴である。しかし、増加量の予測には大きな不確実性があり、この不確実性は減らすことはもとより、理解することさえ困難であった。A DeAngelisたちは今回、予測の幅の大半は、一見基本的な過程、つまり大気による短波放射の吸収に起因することを示している。将来予測されるような湿潤な大気では湿度がより高くなるため、降水量は増えるはずであるが、より高い湿度は同時に、短波吸収を増加させるはずである。今回の解析結果から、モデルでは、観測による制約と比べてシミュレートする短波吸収の増加が小さ過ぎるため、降水量が大きくなり過ぎることが示されている。吸収を制御する放射伝達アルゴリズムをよりよく絞り込み、標準化することができれば、不確実性が減り、平均推定値が約40%小さくなる可能性があると思われる。

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