Nature ハイライト

生物工学:もっと安くできる遺伝子合成

Nature 432, 7020

実験室における遺伝子合成に大変革を起こす可能性のあるDNA配列合成法が開発された。プログラム可能な「DNAマイクロチップ」を使うこの方法で、遺伝子合成に必要な費用の大幅な削減が始まりそうだ。 DNAマイクロチップには、オリゴヌクレオチドと呼ばれる短いDNA配列が数千種結合している。使用するオリゴヌクレオチドは2組で、「構築用」オリゴヌクレオチドは、対応する遺伝子配列の複製の鋳型となる。もう1つの「選択用」オリゴヌクレオチドは、エラーを最小限に抑えて正しい配列を増やすのに使われる。次に1段階の反応でこれらの短いDNAをつないで長い配列を組み立てる。 この方法のテストとしてG Churchたちは、リボソームと呼ばれるタンパク質合成装置の一部を形成するのに必要な21種類の大腸菌遺伝子全ての構築に成功した。また構築用オリゴヌクレオチドの配列を微調整することで、これらの遺伝子がタンパク質に翻訳される効率を高めることができた。これは、完全な人工リボソームを作るという目標に一歩近づくものである。この手法がうまくいくなら、遺伝子配列を組み立てるのに必要な費用は急激に減るだろう。現在1ドルで合成できるDNAはほぼ9文字だが、新しい方法では1ドルで20,000文字の極めて正確なDNAの合成が可能となるかもしれない。

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