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神経科学:双極性障害に対するリチウムの有効性を調べるためのiPS細胞モデル

Nature 527, 7576

リチウムは双極性障害(BPD)で抗躁うつ病薬として広く使用されているが、全ての患者に有効なわけではない。今回F Gageたちは、細胞の表現型の違いを調べるために、リチウムに応答する双極性障害患者と応答しない同疾患患者に由来する誘導多能性幹細胞(iPSC)から海馬歯状回様ニューロンを作製した。双極性障害の患者から得たiPSCに由来する若いニューロンでは、ミトコンドリアの異常と過興奮性が観察された。過興奮性はリチウムに応答する患者由来のニューロンでのみリチウム投与によって回復した。このことから、過興奮性は双極性障害の早期のエンドフェノタイプである可能性が示唆され、iPSCモデルが新しい治療の開発に役立つと考えられる。

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