Nature ハイライト

構造生物学:ピエゾ1チャネルの構造

Nature 527, 7576

機械受容陽イオンチャネルは、「メカノトランスダクション」と呼ばれる、機械力を電気化学的シグナルに変換する過程を介して、機械的刺激を触覚、聴覚、血圧調節などのさまざまな生物学的活性に結び付けている。ピエゾ(Piezo)タンパク質群は、後生動物の機械受容陽イオンチャネルの小孔を形成するサブユニットであることが最近明らかにされた。そしてピエゾ1タンパク質は、血流のずり応力を感知して血管を適切に発達させ、赤血球の細胞機能を調節し、また細胞の遊走と分化を制御している。今回、マウスの完全長ピエゾ1の低温電子顕微鏡による高分解能構造が報告され、この膜タンパク質は三量体で、3つの羽根を持つプロペラ様の構造があることが示された。ピエゾ1は周縁にあるプロペラに似た「羽根」を機械力センサーとして使い、イオンが通過する中心部の小孔のゲート開閉を行っていると考えられる。

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