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細胞生物学:マイトファジーでパーキンが果たす役割

Nature 524, 7565

損傷ミトコンドリアを除去するマイトファジーの過程では、選択的オートファジーの例に漏れず、損傷した積み荷(ここではミトコンドリア)に識別と分解のための標識としてユビキチン鎖が取り付けられる。具体的には、この過程の一環として酵素PINK1がユビキチンをリン酸化し、ユビキチンリガーゼであるパーキンを活性化する。その結果、パーキンがミトコンドリア外膜のタンパク質上にユビキチン鎖を形成できるようになり、そこにオートファジー受容体が引き寄せられる。今回R Youleたちは、この経路の調節がもう一段階複雑なことを明らかにし、リン酸化ユビキチンの細胞内での役割を示した。ゲノム編集技術を使って数種類のオートファジー受容体をノックアウトすることで、PINK1がNDP52とオプチニューリンという2種類の受容体だけをミトコンドリアへ引き寄せ、パーキンとは無関係にマイトファジーを直接的に活性化することが明らかになったのである。ミトコンドリアに誘導されたNDP52とオプチニューリンは次に、オートファジーに関わる他の要素を引き寄せる。これらの観察結果は、マイトファジーでパーキンが果たす役割に関する現在のモデルを見直す必要があることを示しており、PINK1が作り出したリン酸化ユビキチンというシグナルを、パーキンが増幅してオートファジーへとつなげていることが示唆される。

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