Nature ハイライト

進化:余分な指をもつ三畳紀の爬虫類

Nature 426, 6966

「恐竜の時代」が黎明を迎えたおよそ2億4000万年前に、それよりはるか昔の動物を思わせる爬虫類が生きていたという。この中国産の化石について古生物学者グループがBrief Communicationsで報告している。同じ時代に生きていた四肢動物の大部分は肢の指が5本だったが、この海に暮らす爬虫類は後肢に6本、前肢に7本の指があり、この時代よりも1億年以上前にいた最初の四肢動物に見られるような指の並び方をしていた。 3億5400万年前まで続いたデボン紀後期には、多くの動物の前肢と後肢には指が6本以上あった。これに対して、この時代よりあとのヒトを含む動物では指の数が5本を超えることはめったになく、余分な指があっても普通は未発達である。しかしX-C Wuたちの報告によると、今回中国の湖北省で発掘された海生爬虫類の指はすべて完全に発達していた。 この動物は、爬虫類、鳥類、哺乳類からなる羊膜類に入り、通常の5本指の前方に余分な指がついている。この指の並び方は三畳紀初期にいた同時代の動物のどれにも見られないものだ。このがっしりとした短い肢のおかげで、水中移動が容易になったのではないかとWuたちは推測している。

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